寂
僕は今、とても寂しい。
大学の卒業を間近に控え、僕が過ごしてきた日常、街並み、友達などとお別れしなくてはいけないからだろう。
楽しかった日々を思い出し、毎日感傷的になっている。
ただ、ふと思ったんだ。
「寂しい」の反対にあたる言葉ってなんだろう。
「楽しい」でも「嬉しい」でもなさそうだなぁ。僕にはいい言葉が思い浮かばないようだ。
辞書にはこう記載されてあった。
「賑やか」だと。
…なんかちがうよなぁ。
確かに、「寂しい」という言葉の意味を解釈した上での言葉としては「賑やか」という言葉は間違いではないだろう。むしろ正しいだろう。
しかし、僕が知りたいのは別れや終わりが僕を感傷的にさせるという意味での「寂しい」という言葉の反対なのだ。
僕が思うに、今現在の「寂しい」感情の反対になる言葉をある感情に当てはめるとしたら、今思い出している友達との懐かしい日々、瞬間の感情がそれにあたるのだろう。
友達といるときのあの満たされた気持ち、あの雰囲気、あの笑いあった瞬間の気持ち、どうやって表せばいいんだろう。
単純に「楽しい」って言葉だけじゃ言い表せない、あの満たされた感情はなんと呼べばいいのだろう。
上手い言葉が見つからない。
あの感情は覚えているんだけどなぁ。
わからない。けれども僕が一番幸せに感じたのはあの瞬間、あの日々だった。あの瞬間、あの日々が、「寂しい」の反対にあたるものだったと僕は思う。
もちろん、「寂しい」という感情は人によって様々だろうし、「寂しい」という感情を感じる場面も人によっては違うだろう。
だから、この「寂しい」という言葉の反対というものは人によって様々な答えが出るだろうし、どのような状況を思い出すのか、またどのような感情をこれに当てはめるのかも人によって様々だろう。言ってしまえばこの僕の疑問に明確な答えなどというものはないのだろう。
ただ、僕は、僕が感じた、あの感情が答えだと思う。「寂しい」の反対の言葉というものの答えは出せないけれども、「寂しい」の反対に当てはまる感情というものは僕の胸の中にあるのだろう。